Interview with Jerry Galeries 🌴 (※PC閲覧推奨)

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シンガポール在住の作家、Jerry Galeriesの最新作『Quartz Plaza』 がリリースされた。VaporwaveやMallsoftの代名詞でもあるプラザを讃える表題に、古代ギリシャの石柱、ヤシの木、イルカ、フィジーウォーター……。一見するとVaporwaveのテンプレートに従ったようなアートワークにも見える。しかし、かき鳴らされているのは、そのサンプリングソースとして提示されても違和感がないほどの高純度なポップスだ。

 
 

本作は、表題を冠したイントロダクション#1 "Quartz Plaza” から幕を開ける。天気予報のBGMのような飾り気のないフュージョン調の楽曲であるが、終盤、穏やかなプラザの景観は徐々にきらめきを帯び、燦然とミラーボール輝くダンスフロア #2 "In For A Long Night” へと鮮やかにクロスフェードしてゆく。夜を彩るネオンサインのように彩色豊かなシンセがスパークし、呼応する陶酔的なリリック "We are in for a long night for a long night” は、週末の長い夜の訪れを祝福するかのような多幸感に満ちている。往年のソウル・ファンク、AOR、シティポップのきらめきがふんだん散りばめられた『Quartz Plaza』で奏でられるサウンドは、我々を過ぎ去りし80年代の都市風景へと誘ってくれる。

そんなvibes machine、JerryことJerry Galeriesにインタビューを行った。アルバムに耳を傾けながら、彼の音楽の魅力を存分に堪能してほしい😎

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こんにちは。まず、Jerry Galeriesというプロジェクトついて教えてください。

僕は自分の思いをあまり言葉で言い表わせないから、音楽を制作することは常に優れた感情のはけ口だった。実直な音の体験を作ることは、話し言葉で表現できない気持ちや感情を口頭で描写する場をもたらしてくれる。Jerry Galeriesという人格は、そんな無言の情操を負っているんだ。これは、出世競争の激しい都会に住むクリエイティブな個人として、自分の価値を証明する私個人的な闘争を映し出したものだ。大手レーベルが市場に投入した人気音楽コンテンツの大部分は、一見すると無意味だ。それらは疑う余地のないほど正確にプロデュースとエンジニアリングが施されているけど、それらは実用的、有用的な何かを提唱するようには思えない。例のひとつは、セックス(性的なコンテンツ)という繰り返し登場するテーマだ。それは何かをはっきりと提唱する必要はないけれど、それは常にそこにある…。注目を集めているという理由からだ。公共の耳は、非常に洗練されたオーディオ、およびビジュアルコンテンツを吸収することに慣れているので、誠実で素朴なものを生み出すという衝動はより強くなった。

#6 "Rat Race City” のリリックのなかでも歌われている世界観ですね。

シンガポールでも大手レーベルの手がける音楽は人気なんですか?

シンガポールのほとんどの人は最近では多種多様な音楽スタイルに向かっているけれど、アメリカンポップス、K-POP、マンドルポップはまだメインストリームのようだ。個人的に僕はシティポップへの愛に向き合っているので、人気のある音楽や文化について十分な情報が得られていないね。

シティポップ!確かにJerry Galeriesの音楽性は80年代のソウル・ファンク、AORやシティポップを思わせるほどきらびやかですね。あなたのプロフィールにも述べられている「vibes machine from the lost summer of ’85」からも並々ならぬ80年代愛を感じました。 ずばり、あなたにとって80年代とは?

僕は90年代の子だから、僕が80年代に魅了されているのを一部の人たちはとても妙に思うだろう。多くの人と同じように、僕の80年代の知識はほとんどが又聞きだ。僕は、音楽とビジュアルに恵まれたあの栄光の時代を愛している。それは非常に個性的で、上品な優雅さに満ちた独自のサウンドを持っていた。テクノロジーと芸術的革新の結合のおかげで、僕のお気に入りのシンセサイザーとドラムマシンの多くがその次代に生まれたんだ。例えば『Quartz Plaza』のアルバムではヤマハDX7が聴こえるところが多い。とくに顕著なのはオープニングトラックだ。

僕は80年代をよく知っていると宣言できないけれど、確実に音楽界に貢献したその良さが分かる。僕にとって最も魅力的だったのでは、アメリカのポップ音楽に雷鳴のようなシンセサイザーとドラムマシンを組み込んだことだった。それはファンク音楽に強く感化されていた。最終的に、日本の音楽家たちはその原理を採用し、再構築した。シティポップに変化させたんだ!…なんて、僕はこれについて話し続けられるよ。

本当にシティポップがお好きなんですね!ということは、あなたの音楽的ルーツは80年代のシティポップですか?。

僕はパイプオルガンを習いながら育ったんだ。全体として、それは自分の音楽理論の理解を形作った。特にフレーズの作り方や、対旋律(カウンター・メロディ)を書き方はバロック音楽に強く感化された。僕の音楽に微細なフーガの基礎を導入させたんだ。#2 “In For A Long Night”と #8 “Say A Prayer”でその例を聴くことができる。

Jerry Galeriesの音楽は音楽理論的な基礎の上に成り立っているんですね。

僕のバロック様式愛についてはさておき、僕は角松敏生と山下達郎とJADOESに大きな音楽的欲求を抱いている。思い返せば、僕のアレンジメントの決め方は彼らの音楽にとても感化された。例えば、僕のバラッドの曲のコーラスの作り方は、山下達郎の作品の豊かなボーカルハーモニーによって考えついた。彼は独創的かつ芸術的な特徴を自身で創り上げた天才芸術家だ!

おお、私も角松敏生や山下達郎が好きです!あなたのサウンドは彼らの影響を感じさせる部分がありますね!

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うん!「Take You To The Sky High」は僕のお気に入りのひとつだよ!

ところで、あなたのアートワークデザインからVaporwaveの意匠を感じ取ることができます。ローポリゴン、古代ギリシャの石柱、ヤシの木、イルカ、フィジーウォーター…。あなたにとってVaporwaveとは?

Vaporwaveの美学はいつも僕の感興をそそる。80年代からずっと使われてきた傑出したデザイン要素を取り入れること以外に、ある程度に現代的な皮肉(時にはユーモアまで)がある。これらの視覚的美学は空気のようなドローン・サウンドスケープと組み合わせると、とても不気味でノスタルジックな感情を呼び起こす。多くの人はこれをディストピアな感覚と連想できる。Vaporwaveは、耳と目を同時に喜ばせる芸術のジャンルだ。Vaporwaveは劇的に進化をし続けてる。正直、クラシックなVaporwaveと比べると最近のサブジャンルに僕はあまり魅力を感じないけれど、僕の耳にとって、初期のVaporwaveの化身のニュアンスは最も表現力豊かなままだ。僕自身の音楽の背景として、Vaporwaveから採用した視覚的なビジュアルを、僕の80年代のサウンドと合わせて楽しんでいる。ご存知のように、seapunkに由来する要素(例えばフィジーウォーター、イルカなど)は、いわゆる80年代スタイルのデザインで現代的なテーマへの皮肉をさらに強調している。

ありがとう。最後に日本のリスナーへメッセージを。

日本のリスナーの皆んなへ。僕のソングライターの旅のはじまりから、ずっと僕に文化的な影響を与えてくれたことに感謝を申し上げたいと思います。日本の芸術文化が世界に与えてきたことに対する僕からの感謝の念として、『Quartz Plaza』を捧げます。

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